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2024/06/28 (Fri)


 たった・・・
 たった数年でここまで荒れはててしまった。以前ここには清々しい空気で満ちた深い森があったというのに。

そう思いながらメイはまぶたを閉じて、昔見た神々しいまでにきれいな光景を思い出す。
動物たちが生き生きとした声で鳴く音がかすかに聞こえ、緑のじゅうたんとも言えるほどの広大な木々が生える森、雲と雲の隙間から漏れる太陽という名の陽の光が照らす雨上がりの光景を・・・

 あれが今では・・・

メイはまぶたを開きコクピットのディスプレイに目を向ける。
荒れはててしまい、ここに木々があったなど思えそうにない果て無き荒野が映るディスプレーに・・・
『ディスプレーだから』という理由ではなく、ただ砂嵐が吹き荒れている荒野・・・日の光すら満足に見えぬ風景がそこにはある。たとえ砂嵐が去ろうとも、その太陽の光は陽の光といえるものではすでになく、弱者といわれる人をいたぶる灼熱の地獄が広がるだけだ。
自然の猛威は人にとって抗うことしか出来ない。ただ、その抗いさえものみ込んでしまうのが自然なのである。

今ではこのような風景が当たり前となっている。大きく発展した街の近くではない限り、ただの森さえ見当たらないことが多い。
数年だけで世界のほぼ三割の地形や環境が変わったといってもいい。

数年・・・正確には5年前になる。
企業の一つが他の三つの企業に宣戦布告したのである。それまで何があろうとも友好関係を築いていた企業が。
当時は相当混乱していたらしい。今でこそ企業内での内乱・・・しかも企業を束ねていた家族が暗殺されていたことがわかってはいるが・・・

とにかく、その5年前から世界は企業間戦争が始まってしまった。今でこそ宣戦布告した企業・・・シルディス対三企業という様相を呈しているが、始まった当時はシルディスの独壇場であった。
準備があるかどうかはそれほどまでに形勢を決めてしまうものである。それは五年たった今でも効果は続いている。それほどまでに綿密な作戦であることもあるが、何より今ですら均衡を保っている戦況がそれを物語っている。

メイが・・・いや、メイとフェイの二人が向かっている場所はそのシルディスが急襲し制圧している街である。迅速かつ一定の強さが必要な今回は、企業が二人の属するギルドに依頼をしたために二人が向かっているのである。

『メイちゃんストップっ』

メイはフェイの急な言葉にもかかわらずに、あせることも無く自身のACに制動をかける。

「レーダーに映ったの?」
『うん、ちょっとまってね。えぇっと・・・』

フェイのACである「アリヴィア」にはORパーツとして超長距離射撃武器「VALT」がある。その補助として射程距離分の高性能レーダーも付けている。如何せんアリヴィアは支援型ACとなってしまうものの、安全圏での索敵と攻撃は敵にしてみれば脅威以外の何者でもない。しかも・・・

『MTが30くらいだね。街の南側つまりこちら側に集まってるみたい。』
「まだ増援がこないとでも思っているみたいね。ならいつも通りで行きましょう。」
『わかった~。メイちゃん気をつけてね~。』
「フェイもね。じゃあまたあとで。」

しかも、アリヴィアのパートナーが高機動の近接型ACならばなおさら・・・
メイは自身のACのスピードを加速度的に上げて敵に向かっていく。
吹き荒れる砂塵の中で、一瞬ではあるが途切れた砂塵の間に現れたメイのAC「エクティル」は、太陽の光を受けて鈍く銀色に輝くのであった。





.....第一話に続く



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