カウント30、そのカウントダウンが開始されたときにMT部隊はACを一機確認する。迎撃に走るもの、部隊の本部に救援を要請するもの、多くの者が生き残るために動き出す。
心の奥ではあきらめの気持ちを感じながら…
「本部も何を考えているのか…AC二機を見るために都市を攻撃するなど…」
襲われた都市の一角にみすぼらしい姿をした男がたたずむ。そしてMT部隊の展開されているところを睨みつける。
銀色の機体が空中からMT部隊に近づきライフルを構える。そして、遠くの荒野の一角から青白い光が見えたと思った数秒後に二機のMTが爆発する。
銀色の機体が持つライフルからの銃撃、目を凝らしたとしても点にしか見えない遠い位置からの砲撃。そこから始まる戦いは、もはや戦いではなく一方的な暴力に見える。
例え方向がわかろうと反撃できる場所にはいない遠距離攻撃。
例え捉えてもそのすぐ後には横から、あるいは背後からの衝撃により物言わぬ鉄の塊とかすMT。
あるものは青白い凶弾に、あるものはライフルの弾に、またあるものはレーザーブレードにその身を消されていく。
「たかだかMTではACの相手になるはずがない。所詮は使い捨てのできる戦力と言うことか…
いや、だからこそのこの戦いか…」
男はただ見つめる。その目にACの戦闘を叩き込むために。
「30秒で撃破か…」
30機ほどいたMTはもはやいなくなり、燃え盛る塊と黒くススが広まる荒野に成り果てていた。その黒き荒野には銀色の巨人が佇む。
「しかも無傷とはな…そうでなくては今回見に来た価値はないか。」
男は望む、ただ強い者を。
メイはふとエクティルのカメラアイを襲撃された都市にむける。しかしここからは都市の全貌が見えたとしても、詳しく見ることはできないだろう。
「…何か見られている気がするのだけれど、住んでいる人がまだいるのかしら?」
この都市は一般的には準都市と呼ばれる都市である。都市と名がついてはいるがどちらかというと中継地。
都市と都市をつなぐ場所にできる小さな都市、それが準都市である。
「気にはなるけれど、そろそろ撤収したほうがいいかしらね。じゃないとフェイが…」
『メイちゃんかえろ~。そろそろ帰らないと夕飯に間に合わないよぅ~』
「はぁ…そうね。帰りましょうか。依頼はこなしたのでしょうから。」
『やった!今日は特製オムライスだって聞いてたんだよね~。楽しみだなぁ~オムライス~ じゅるり』
「ちょっと、フェイったらもう少し我慢しなさいよ。まったく、いつもいつもあなたは…」
彼女たちは帰っていく。
自分たちを見つめる男の存在に気づくことなく。
『あ…シートにつばついちゃった・・・てへっ』
......第三話へ
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